宮島には、観光客が多く訪れる表側だけでなく、人がほとんど訪れない裏側の地域があります。
今回は、入浜・大砂利方面を観察し、そこで見た自然と鹿の姿を記録しました。
この記事でお伝えしたいのは、『裏側にも鹿はいる』ということではなく、『裏側に鹿がいることと、十分な餌資源があることは別問題』という点です。
今回の観察は入浜・大砂利周辺に限られます。ただ、植生や地形には宮島の他の裏側とも共通する点が多いように感じました
大砂利とはどんな場所なのか

宮島の裏側にあたる大砂利(おおじゃり)は、私たちが給餌活動をしている入浜(いりはま)のさらに奥です。
ここは、一般車両が通行できる最も奥地です。
大砂利は、車で約20分ほど狭い山道を走らないと辿り着けない場所で、厳島神社のほぼ真裏に位置します。

道中の山道は、車一台分しか通れない狭い道がずっと続きます。
前回の記事で、この場所には宮島で唯一の広い農園があることをご紹介しました。

農園は1946年に開墾され、現在も野菜の栽培が行われており、宮島内の旅館などへ届けられています。
そんな大砂利ですが、この場所にも鹿の姿があります。
海辺にいた鹿が、こちらを見ています。

私は、何度もこの場所を訪れていますが、確かに毎回鹿の姿を確認しています。
宮島は市街地だけでなく、弥山や島の裏側にも鹿が生息しています。
宮島の裏側・大砂利で出会った鹿

宮島の裏側である大砂利にも、鹿が生息しています。
ですが、
鹿がいるといっても単体、もしくは数頭が一緒にいる感じです。
大元公園や包ヶ浦自然公園のように、群れで暮らしている様子はありません
植生についても、包ヶ浦自然公園のような芝地はありません。
この辺りは、浜辺と山がとても近く、浜辺くらいしか広い平地はないようです。

ですので、海岸沿いに植物が生えていますが、私が確認した範囲では、鹿が好んで食べる植物は少なく、食べられない植物が目立っていました。
大砂利で確認できたことは
- 鹿は生息していた
- 群れではなく数頭だった
- 広い芝地は確認できなかった
- 鹿が利用できる草地は限られているように見えた
確かに、山の裏側である入浜や大砂利にも鹿はいます。
ですが、鹿が群れで暮らしている様子がないことから、餌資源が限られているように感じました。
「裏側にいる」と「餌資源が十分」は別の話

実際に大砂利周辺を観察していると、数頭の鹿に出会うことができます。
しかし、それだけを見て「島の裏側でも十分に暮らせている」と結論づけることはできません。
私が見て周った限りにおいては、包ヶ浦や大元公園のような広い芝地は見当たりませんでした
海岸沿いにも、鹿が日常的に利用できるような草地はほとんどなく、見られるのは森林や岩場が中心です。
文章や写真だけでは伝わりにくいので、大砂利へ向かう山道の様子を動画でご覧ください。
大砂利に向かう山中
つまり、「裏側にも鹿がいる」という事実だけで、宮島全体で約600頭の鹿の餌資源が充分にあるとは言い切れないのです。
もし島の裏側に、鹿が十分に利用できる餌資源が広く存在するのであれば、もっと多くの鹿が集まり、群れで暮らす場所があっても不思議ではないと私は考えています。
実際に歩いてみた範囲では、鹿の数も少なく、餌資源も豊富には見えませんでした。
つまり、「裏側にも鹿がいる」という事実と、「宮島全体で約600頭の鹿が自然の餌だけで暮らしていける」ということは、まったく別の話だと私は考えています。

宮島の裏側の観察まとめ

宮島の裏側には、包ヶ浦自然公園や大元公園のように、たくさんの群れで暮らしている様子はありませんでした。
多くても数頭が一緒にいる程度で、この場所は、餌資源が豊富な環境には見えません。
宮島の山の中にも、海岸沿いにも、鹿が日常的に食べていけるような芝地はほとんどないのです。
- 宮島の裏側にも鹿はいる
- 群れで暮らしている様子は見られなかった
- 広い芝地は確認できなかった
- 「鹿がいる」と「餌資源が十分」は別の話
だからこそ、
包ヶ浦や大元公園のような場所に鹿が集中するのは、ある意味で必然なのだと思います

時々、
「島の裏側にも鹿はいるのだから」
といった言葉を見かけることがあります。
しかし、その一言だけで宮島の鹿の状況を判断してしまうのは、とても危ういことだと感じています。

鹿は木の葉や木の実も食べますが、草地や芝地は重要な餌資源です。
夜は山で休むことがあっても、昼間は平地で採食する姿が多く見られます。
つまり鹿は、山の中だけで暮らす生き物ではないのです。

なので、
「山に返せば解決する」
という考え方も、現地の環境や鹿の暮らし方を見ていると、少しずれているように思います。
現地を歩いてみると、「島の裏側にも鹿はいる」という事実だけでは見えてこないことがたくさんありました。
だから私は、写真や映像だけでなく、実際に現地を歩き、自分の目で見たことをこれからも発信していきたいと思います。

