宮島にもどんぐりは落ちています。
ですが、鹿さんが食べているところをほとんど見かけません。
しかこどんぐりがたくさん落ちているから、食べ物の心配ないって言われたことがあるけど..
そこで、
私自身が大元公園で拾ったどんぐり(以下画像)を形状や色・サイズをもとに観察したところ、
おそらくですが ツブラジイ という名前のどんぐりである可能性が高いです。


鹿は、ツブラジイのどんぐりは“渋くて硬いため”はほとんど口にしないという観察結果が報告されています
今回は、宮島にあるどんぐりから分かる、宮島の植生と餌資源不足の実情についてお伝えします。
なぜ鹿さんはツブラジイ(スダジイ)をあまり食べないの?


ツブラジイのどんぐりを、鹿さんが “食べづらい・避けたい” と感じる理由。
① タンニン(渋み)が強すぎる
鹿さんは渋みに敏感で、少しかじっただけで
「苦い…これはダメ」 と判断することがあります。
タンニンは消化にも負担がかかるため、野生の動物は本能的に避けます。



このどんぐり渋いんだよね..
※鹿によって感じ方の個体差がありますが、渋みや硬さは、多くのシカ生態研究においてシカが避ける要因とされています
② 殻が硬く、割っても渋い
ツブラジイは小さくても案外硬く、
割れても渋みが強いので、鹿さんはすぐにペッと吐き出してしまいます。



これ、渋いし硬いからほとんど食べないよ
③鹿があまり食べないどんぐり


- スダジイ
- ツブラジイ
- マテバシイ
これらのどんぐりは硬くて渋み(タンニン)が含まれているため鹿があまり食べません。
宮島には、鹿さんが好まない、スダジイとツブラジイが多いのです。
実際に、大元公園にはツブラジイのどんぐりが落ちていますが、それらを無視して他の食べ物を探す姿をよく観ています
ツブラジイもスダジイも人間が食べられるよ?





ツブラジイって人間が食べられるんだよね
そうなんです。
実は、ツブラジイとスダジイ(どんぐり)は人間が食べられるどんぐりで、人は逆にあまり渋みを感じないという情報がありました。
人間と鹿の味覚は、少し違うんだそうです。
では、本当に人は渋みを感じないのか?
を確かめるために、実際に生で食べてみました。


その結果、
最初は「おっ、食べられそう」と思ったんですが、、
後から、かなりの渋みを感じました
はっきり言って、全然おいしくないです。
調べてみると、さすがに生だと渋みがあるため、昔の人は「焼く・ゆでる・アク抜きをする」などして食べていたそうです
つまり、
自分で食べてみての感想は、人間でも渋くておいしくないし、鹿は味覚の違いから、なおさらおいしくないと感じているのではと思いました。
人間は調理することでツブラジイのどんぐりをおいしく食べられますが、鹿さんは調理できないので条件が全く違います



そう、これおいしくないの



鹿さんが好んで食べないのも納得ね
どんぐりに関しては、人は生で食べるわけじゃないということと、鹿さんとはそもそも味覚が異なることに注意が必要です。
一般的などんぐりと大きさ比較
支援物資で送って頂いた、コナラやクヌギなどの一般的などんぐりと大きさを比較してみます。


写真左のツブラジイは、通常のどんぐりの半分以下のサイズです。
直径がだいたい1.0〜1.5cmくらい。
どんぐりについて調べていると、Xでわかりやすい比較画像を作っていた方を見つけたのでご紹介します。
ツブラジイは、他のどんぐりと比べてとても小さいことが分かります。



おしいそうなどんぐりがいっぱいあるー
ツブラジイは、こちらの大きな木から落ちていました。


大元公園にある大きな立派な椎木(しいの木)ですが、意外とどんぐりは小さいんですね。
このどんぐりを、鹿さんが好んで食べることが出来たら良かったのになぁと思います。
鹿さんがよく食べるどんぐり(好物)


逆に、鹿さんがよく食べるどんぐりはどんなものがあるのでしょうか。
以下のどんぐりは鹿さんにとって渋みが少なく、殻も割りやすい種類です。
- アラカシ(粗樫)
- コナラ小楢)
- クヌギ
- ナラガシワ



どんぐりたくさん送ってくれてありがとう♡
宮島にも多少あるようですが、量は多くはありません。
どんぐりの種類と見分け方がとても分かりやすかった動画を貼っておきます。
宮島のどんぐりだけでは足りないと考えられる理由


宮島にはどんぐりの木はたくさんありますが、多くがツブラジイやスダジイなどの、鹿が好まないどんぐりの木です。
とはいえ、
食べられるどんぐりの木も多少あるなら大丈夫でしょ
と思われがちですが、これも間違っている可能性が高いと考えています。
なぜなら、
廿日市市の『宮島地域シカ保護管理計画』によると、宮島の鹿の推定頭数は約600頭であるのに対して、宮島の山が自然に用意できるエサは“足りていない”と考える方が妥当だからです。
出典:宮島地域シカ保護管理計画
それでは、その根拠となる理由を説明したいと思います。
なぜ「足りていない」と言えるのか


① 密度が高すぎる
・広島県廿日市市が発表している宮島の鹿の推定頭数で考えた場合、約5〜6km²の範囲に約600頭が生息しているとすると、→ 1km²あたり約100頭となります
但し、“600頭/100頭/km²” が意味するのは、あくまで「北東部の限られた地域」における推定値、ということです。島全体の鹿の頭数がきちんと数えられたわけではありません
・一般にニホンジカは
10頭/km²を超えると植生への影響が顕著、
それ以上になると「過密で餌不足」と判断されるレベルです。
→ 宮島はその10倍近い密度。
出典:広島県宮島の常緑広葉樹林における植物の分布と地形 <論文>



推定、宮島は通常の10倍の密度だったの..
広島大学の論文で、宮島では鹿が高密度で生息していると発表されています


② 「食べられるどんぐりの木」は一部だけ
- 宮島のどんぐりの木は多く見えても、広島県の資料から分かるとおり
- アラカシ・コナラ・クヌギなど=よく食べられるグループ(少なめ)
- スダジイ・ツブラジイ・マテバシイなど=ほぼ食べないグループ(多い)
- つまり、「山じゅうどんぐりだらけ」に見えても、
鹿が実際にエネルギー源として使えるどんぐりはかなり限られています。
出典:広島県宮島の常緑広葉樹林における植物の分布と地形 <論文>



たべられるどんぐりの木は少ないよ
③ 体格・行動が“ギリギリ”を示している
- 体が全体的に小柄
- 肋骨が浮いている個体がいる
- 人間のビニールや紙、落ちている変なものまで口にする。
→ これは「野生動物として余裕がある状態」ではなく、
常にエネルギー不足ぎみで生きているサインと言えます。


「足りる/足りない」をどう考えるか
これは、基準を分けるとイメージしやすいです。
① 餓死せず、なんとか生き延びるだけ → ぎりぎり足りている(※ボランティアの給餌活動あり)
② 野生動物として“健康な体格と繁殖”を維持する → 足りていない
宮島の現状は、
②の意味では明らかに不足、
①のラインでなんとかしのいでいる…という感じになります。



ほんと宮島の鹿さんには “しのいでいる” という表現がよくあてはまる気がする
そして、
この状況の中に、ボランティアの給餌活動が必須食糧として含まれているというのも重要なポイントです。
宮島の鹿は実際に餓死しそうなの?毎週鹿に会っている給餌ボランティアがお答えします
宮島のどんぐりまとめ


よく誤解されがちなのは、
「地面にどんぐりが残っている」= 「食べ物が十分にある」
という見方です。



そう、これよく言われるの
しかし、実際には
鹿さんが食べられないどんぐりの木が多く、鹿の密度が極めて高いため量も足りていない可能性が高い
と言えるのではないでしょうか。


宮島では
- 鹿が食べられるどんぐりの木が少ない
- 鹿の密度が極めて高い(1平方kmあたり約100頭)
ため、秋のどんぐりシーズンであっても、鹿さんが食べ物に困っていると考えられます。
ボランティアの観察では、落ちているツブラジイのどんぐりを無視して、食べ物を欲している様子を何度も確認しています



本当のことを知ってくれてありがとう



正しい知識を身につければ、本当のことが見えてくるね
なかなか見た目では分かりづらいですが、こうした“どんぐりの種類の違い”も、宮島の鹿さんが生きていくのに困難な理由のひとつなんです。
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